虹色パウダー



淳平の思い出の中を覗いてみる。



今、淳平が思い出しているのは……小学校2年の春。


初めてサッカーを始めた頃のことだった。



コーチが練習後に食べさせてくれたスイカ。


淳平は、誰よりも早くスイカを手に取りたくさん食べた。




僕はスイカのパウダーを作ることにした。




淳平は、真っ直ぐな性格だ。


優しくて、明るくて……桜子と涼太のことも、しっかりと受け止めて前に進んだ。




大丈夫。


淳平には才能がある。



淳平はサッカーが好きで、サッカーがうまくて、みんなの人気者。



こんな所でスネてちゃだめだ。





その日の放課後、家に帰ろうとする淳平の後ろを歩く。



サッカー部の練習場所を避けるように裏門から帰る淳平に、僕はスイカパウダーを振りかける。



思い出して。


あの頃。



淳平はサッカーが楽しくて仕方がなかった。


もっとうまい人はいっぱいいたけど、そんなことは関係なくサッカーが好きだからサッカーを頑張っていたはず。




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