虹色パウダー
思い出して。
あのスイカの味を。
眠る前、毎晩思い出しているんだ、きっと。
淳平はサッカーをやめたくない。
パウダーは風に乗り、淳平の金色の髪の周りを飛んでいた。
一瞬立ち止まった淳平は、むしゃくしゃした顔をして、走り出した。
裏門を出た淳平は、うつむいたまま真っ直ぐ家へと帰る。
僕は毎日、パウダーを振り掛け続けた。
淳平がサッカー部の練習を休み始めて、1ヶ月が経とうとしていた。
涼太と桜子は、会うたびに淳平の話をしていた。
淳平はふたりにとって、かけがえのない友達だ。
だから、どこか心から笑えない日々が続いていた。
「桜子、お前が話してみてくれないか?」
もう真っ暗になった公園で、涼太は低い声で言った。
近所の家から、夕飯の良い匂いが漂っていた。