男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~



帰宅したリュウジに声をかける。


本当は聞くのが怖い。


だけど、予約した病院はHPから問診表を見ることができる。


そこに書いてあったんだ。


【抗がん剤治療を受けたことがありますか】


【放射線治療を受けたことがありますか】


確認しなきゃ前に進めない。


「ねぇリュウジ。前さ、抗がん剤打ってたよね?」


明るく明るく問いかける。


「あぁ、打ってたけど」


「その時ってさ、放射線治療とかもした?」


「……それはわからない」


リュウジの着ているTシャツをそっと捲りあげる。


縦に20センチはあろうかという大きな傷跡。それは胸の下から下腹部までずっと繋がっている。


もし、この位置から放射線が当てられいたらアウトだろう。


レントゲンだってきっと尋常じゃないぐらい撮ってるだろうし。


「抗がん剤のせいみたいだよ」


あえてあっさりと口にした。期待しすぎて後から傷つくのは悲しいから。


リュウジもアタシと同じ。


抗がん剤が原因なんて考えてなかったね。


「今頃後遺症かよ……ゴメンな」


肩を落としてそう言うから


「生きてるんだから良かったじゃん」


強がりな私は、またそう言って笑うんだ。


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