男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
「とりあえず、俺検査行ってみるわ!」
それが……リュウジの決断だった。
いくら可能性が顕微受精にしかないとはいえ、まだ精巣内にいてくれるのを確認した訳ではない。
そう。これはまだ、仮にいたとして……の話でしか無いんだ。
「検査して、いたらまた考えよう!いくら高いって言ったって頑張って貯めたら払えない額じゃないだろうし」
「まぁ……確かに調べてみないと進めないもんね」
そんな前向きなリュウジになんとか救われる。
ホントは言いたい。
私までそうなったら痛い思いをする事まで分かってて言ってる?とか。
でも耐える。
きっとリュウジの方が辛いはず。無理をして飄々とした言い方をするリュウジがちょっと嫌なだけ。
そっけない言い方で私も彼を傷つけてるんだろうからお互い様だ。
相手を思いやれるほどの余裕なくて当たり前。
ちなみに。
不妊治療の助成は1回の治療につき10万円まで、1年度当たり2回を限度(S県)
それではほんの少しの足しにしかならないのが現状。
そして、顕微受精の成功率は25%。
これだけ時間とお金を割いても失敗する可能性の方が遥かに高い厳しい厳しい現実。