まりぉchanの秘密。
新しい未来へ



「やっとついた…」



学校から家まで、そう遠くないというのに長時間車に乗っていたかのような感じがした。
あの会話の後、車内はずっと静かで溜め息一つつけないくらいだった。





「わぁ!!真莉乃お嬢様が帰ってきた!!おいそこ、皆に伝えろ!!愁!!いつまでも掃除してんな!!」




あたしを見つけたのか周りはがやがやとしだし、10秒もたたないうちに50人もの人があたしの前に集まった。

小さいころから何百回とみてきているが何回見てもすごいスピードだ。


「相変わらず早ぇな…」


執事の健伍も目を疑われるほどの速さらしい。



【御帰りなさいませ真莉乃お嬢様。】



「んじゃ、行きますか。」



そう言ってつかつかと進んで言った。
あの、堂々さも昔から変わってない。

あたしが後ろから眺める背中はとても誇らしく見えた。


危ない時、すぐに駆け付けて守ってくれた背中。
あたしに意地悪しすぎて怒られた時、しゅんとして丸くなる背中。
全部、いままで見てきた背中。


その背中をしばらく眺めていると健伍がこちらを振り返った。



「あれ?真莉乃お前泣いてんの?」





「え?」



そのとたん、あたしのほほを冷たい何かが通った。
手でぬぐう…やっぱり涙だった。


突然あたしの目の前が真っ暗になった。
気お失ったのではなく、健伍によって隠されてしまったのだ。



「泣いてんなよ…。」


はぁ…と一息つきながら抱き締める力を強くする。
そんなことをいちいち分かってしまうあたしは気にしすぎなのだろうか…

なんで…なんでないているんだろう。
それは、健伍への感謝なのか…それとも罪悪感なのか。




《罪悪感》



その言葉が頭のよぎったとたんまた、あの頭痛がしてあたしは地面に倒れた。




< 166 / 274 >

この作品をシェア

pagetop