西の狼
「ほぉ、宿屋の………しかし、なぜこんな路地裏で襲われていたのですか?」
「それが……お父さんに頼まれて食材の買い出しの帰りだったんです。そこで、お父さんに連れられて来たんですけど………」
「あの主人に……?」
「………はい……」
「……どういうことだ……自分の娘を、何の為に……」
「………私が………」
「え……?」
「………私が……本当の子供じゃないから………お父さんは…私が要らなくなったのかも………」
「!?な、何を言い出すんだ!」
レオンが落ち着かせようとしたが、イレールは半狂乱になって叫び続ける。
「きっとそうよ………お父さんは、私が要らなくなったんだわ……だから私を………ッ!!」
「落ち着け、イレールさん!ご主人はそんなこと思ってない!」
「貴方に何が分かるのよ!ただの旅人の貴方なんかに……!!」
「……イレールさん………」
レオンが途方に暮れたその時
「………仕方ありませんねぇ………」
ミカエリアが、手刀でイレールを気絶させた。
「な、何をするんだ!」
「お静かに……感じませんか?」
ミカエリアの行為を追及しようと身構えたレオンだが、不意に何かの気配を感じたことで踏みとどまった。
「………三人か…来る………!」
二人が感じ取った三つの気配は、すぐに二人の近くに降り立った。
一人はレオンと同い年くらいの、腰に二振りの細身の剣を差した黒衣の男だ。
他は、青いマントを羽織って、右手に長い杖を握った黒衣の男より少し年下らしき少女と、赤い髪に動き易そうな格好の、三人の中で年長らしき女だ。