5年先のラブストーリー-この世のしるし-


『工藤さんと居ると、全てが上手く行くような気がする』


繰り返される玲子の言葉

直樹は、ただ理解に苦しんだだけだったのか?

困惑とは裏腹に直樹の心は動き始めていた。


それでも直樹は自分が抱える苦しみから逃れたいが為に別の話題に変えようと必死だった。


「安本さんは看護師の仕事は長いの?」


これ以外出てくる言葉はなかった。


一瞬、玲子は沈黙した。


以前にも同じ質問をした時、無言になった玲子を思い出した直樹には、既に成す術はなかった。


沈黙は続いた。


ところが・・・


「・・・実は私、学生なんです」


恐る恐る玲子は直樹の反応を伺うかのように、この質問に初めて口を開いた。
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