5年先のラブストーリー-この世のしるし-
第三章 -真実の愛-
-道しるべ-
-直樹の過去-
直樹は中学生まで何ら変わりない普通の学生だった。
そして、高校にも普通に進学した。
入学して間もない頃、校舎の配置が分からなかった直樹は早々に教室を間違った。
“そこ俺の席なんだけど・・・”
これが妻、宮下恵子との出逢いだった。
「ここ、3組だよ」
直樹は教室の間違いに気づき飛び出そうとした。
その時、恵子の床に置いてあったカバンにつまづき無様に転び、緑色の小さな石が飛び出した。
「大丈夫!?」
その声にムカついた直樹はとっさにその石をポケットに入れてしまった。
そして、何事もなかったかのように平然と立ち去ろうとした。
何も知らなかった恵子はあまりに不自然な姿が可笑しくて思わず「クスッ」と吹き出してしまった