5年先のラブストーリー-この世のしるし-
-玲子と出逢う1ヵ月前-
直樹はいつものように出勤しようとしていた。
玄関先で靴を履いていた時だった。娘・直子(10)が背後から肩を叩き大声を出した。
「お母さんがまだ寝ているから静かに!」
直樹が人差し指で口を押さえると、直子は更に大声で喚きだした。
「こら!直子!」
「ブゥー!ブゥー!」
それでも直子は一向におさまる気配がなく必死に母・恵子の眠る
寝室を指差した。
その根気にさすがの直樹も降参して襖を開けた。
すると直子は突然大声を出し、恵子の体を思いっ切り揺さぶった。
その行動に直樹は本気になって叱りつけようとした。