あの日の夕日が優しかったので


止めどない妄想が脳髄を犯す




「僕と友達になってくれんの?」



ただ無表情に淡々と
少しの覚悟を滲ませて






「かずが、いいなら。」



返ってきた言葉に
あぁやっぱりと


どこか安心感




「いや、でも嫌なら、ごめん・・」



小さな声で呟く声に僕は答える





「いいよ、かずで。

 てかさっきふつうに

 かずって言いましたよあなた。」




僕の返事に
フニャリと笑う





「ありがとう。」



「いえいえ。」



「なんでかず敬語なの?」


「あれ、くせになっちゃいました。」



「おもろいねー。」


「あんたのほうがおもしろいと
 思うんですけどね。」


「へへー。」


「なんだへへってキモイ。」


「ヘヘー。」


「しつこい。」


「・・よろしくかず。」




「・・・・こちらこそ。」




















傾いた夕日は
僕等2人を優しく包む



古びた香りが桜の匂いと混ざりあい
空を彷徨った


柔らかな風は草花をそっと揺らす




遠い声もいつのまにか
どこかに消えて







僕はそれらに頬笑みを隠した





























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