砂時計の村 夢魔の国のアリス

「ナイトメアさんは来てるの?」
再びうーちゃんが猫に問いかける。
「どうだろう、来てるのかな? 僕がいるから、来てるかもしれないね」
猫がくすくす笑う。
うーちゃんの目は相変わらず鋭いまま。
私はうーちゃんと猫の間で、知らない単語が飛び交うのを、ただ、呆然と聞いていた。

「アリス」
ふと、猫が私を見る。
うーちゃんが、私をかばうように、私の前に進み出た。
「目覚めたいの? 目覚めたいなら頑張って」
「チェシャさんは、ナイトメアさんの味方するの?」
私が返事をする前に、うーちゃんが口を挟んだ。
「どっちの味方でもないよ? アリスも好きだし、ナイトメアも好きだから」

猫が、不意に耳を立てた。
「呼んでる」
慌てて、私も耳をそばだてたが、相変わらず聞こえるのは風の音と、木の葉の音だけ。
「それじゃあ」
猫は誰に言うわけでもなく、呟く。
猫の体が、闇に溶ける。
三日月型の口だけの残して、後は徐々にフェードアウト。
きれいに三日月だけ残ると、今度はその三日月がすーっと上って、消えた。
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