怪盗ブログ

片手が使えないというのはやはり不便だった。


寮では何かと大貴がやってくれていたので、今更それを痛感する。


昼休み、監督は部室にいるときいて、早めに昼食を済ませて部室に向かった。


部室に入るなり監督に話しかけられる。

「内藤……大丈夫なのか?」


「え?あ、はい」

想像以上に心配そうな監督の様子に驚いてしまった。


「治るまで、マネージャーやりたいんですけどいいですか?」



「片手で出来るのか?」


「出来ることは頑張ります。あと声出していきます」


監督は少しの間考えて

「……おまえなら出来るかもな」

と言った。



あたしはそのまま挨拶をして部室を後にした。


校舎裏の近道を通って教室へ急いでいると、




「ほら」

背後から声がした。
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