不良×依存症


なっちゃんは、呆れたように静かに笑う。



「俺、根性焼きしてへんで?されたんや」


「えっ」


された…?

つまり、他人に根性焼き作られたってこと?



「いじめや。いじめ」


「い……じめ」


いじめという言葉は、今までのあたしの人生に無縁の言葉だ。



「俺、野球やっててん。中2まで」


「え、そーなの!?」


あたしは驚きを隠せなかった。


「ああ。そんで、色々テレビとかでも取り上げられてて全国ネットのテレビにも出てたんや」



あたしは、相槌をうった。


「だけどな、やっぱりそれを良く思わない先輩やタメがいるわけやわ」


…わかった。

陸がなっちゃんを"憧れの存在"と言ったのが。



「それで、いじめが入って。むかついて、退部して、地元のワルとつるんで、暴走族入ったわけや。根性焼きは中2のとき、先輩にやられた」


「それ、ひどいよ!別になっちゃん悪くないじゃん!」


あたしが叫んでも、なっちゃんは顔色ひとつ変える事なく、喋り続ける。



「でも、わけあって族抜けする時、背中を焼かれて、多分まだ痕は残っていると思う」


なっちゃんの口から放たれる言葉は、全て現実として受け入れたがいものだった。
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