不良×依存症



「はっ?……俺、何言ってんだ」


なっちゃんが、あたしを見ては首を傾げる。


………?



「ああ…。変な夢をみたからだ…」


なっちゃんがガックリと下を俯き、唇を強くかんだ。


「変な夢…?」


「最近、よく見んねん…。多分、アイツのせいや」


アイツ…。


それは、もしあたしの勘が当たっているのならば…。


陸に間違いはないだろう。




「……なっちゃん、野球やったら?」


「はぁ?」


そう言ったあたしを、なっちゃんは白い目で睨む。


その目の奥にある瞳に、光という存在はなかった。


「だって嫌いでやめたわけじゃないんでしょ?じゃあ…」


「バカじゃねーの。もう遅いんだよ…」


何が、遅いのだろう。


野球を再び始めることが、もう既に過ぎたとでも言いたいの…?



「遅いとかじゃないよ!したいか、したくない、その2択だよ!」


「じゃあ、"したくない"!」


なっちゃんがぶっきらぼうにそう答えると、舌打ちを漏らし、立ち上がる。



「打ち上げ行ってこいよ」


< 142 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop