不良×依存症


あたしがそう言うと、酒巻と明菜が顔を見合わせる。


「お、お前…」


「金で済まそうとしてんのかよ!?」


明菜と酒巻の怒鳴り声が、見事に重なる。


あぁ…。


ど、どうしよう…。


空回りばっかり…。



「ど…どうすれば…」


「お前がやることはよ、陸にもう一度野球させることだ。それ以外は何もすんな」


酒巻が冷たい口調でそういった。


凛々しい酒巻の瞳は、あたしを確実に恨んでいる。



そして、あたし自身もあたしを恨んでいる。



陸から、何を奪おうとしてたんだろう…。


陸の好意を弄んで、いい気になって。



あたしって、本当、最低。


目頭が熱くなり、涙を必死に堪えた。



「な、央…!!超かっこいい人が…アンタを呼んでる」



ドアの向こうで、母親の興奮気味の声が聞こえる。


「わ、わかった。今いくー!」


指で目を軽くこすり、怒り爆発の酒巻と明菜に待ってて、と伝える。



……超カッコイイ人?


……、陸のこと?


陸だったら…、謝らないといけない。
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