不良×依存症



自分が情けなくて。



震える腕で、ゆっくりとドアを開く。


その向こうには、裏切ってしまった陸がいるわけで。



「……ん、え?」


だけど。

ドアの向こうには。



「おい、アホ。お前何してくれてんねん!」


ドアの向こうにいる少年は、あたしを関西弁で怒鳴る。


あたしの周りで、関西弁を喋る少年は一人しか居ない。



「……な、なっちゃん」


「ちょー、今大丈夫?部屋いっても」


さすがなっちゃん。


強引。


だけど。



「何かあったの…?」


「何しらばっくれとんねん。お前、安西陸に野球やめろ言うたらしいな」


あたしは、顔を上げた。


なんで、なっちゃんが…!?


恥ずかしさに耐え切れず、顔が真っ赤になる。


正直、なっちゃんにだけは知ってほしくなかった。


好きな人にだけは、良いように見られたいもん…。



でも、今はそんな贅沢を言ってられる様な立場じゃない。


「…うん」
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