不良×依存症
後ろを振り向くと、犯人がいた。
なっちゃんに腕をつかまれているから、すぐ分かった。
ってか、40代くらいのおばちゃん…。
嘘やーん
「おばさん、どうします?次の駅で俺等と降りるか、この腕へし折るか…」
「すっ、すいません…。私には子どももいるんです…」
「そんなん関係ありませんがな。」
こ、怖い。
冷静な口調だけど、顔も冷めていて、逆に怖いよ!
さ、さすがなっちゃん。
「も、もう、いいっす。おばさん、もうやめて下さいね」
「は、はい。申し訳ございません」
なっちゃんはまた舌打ちをもらすと、渋々腕を離した。
するとおばちゃんは、どっかにいった。
「お前、人が良過ぎんねん」
「だって、あんな顔されたら…」
「変に同情すんな。お前みたいな奴が、社会でやっていけねーんだよ」
……そ、そんなあ。
そ、そこまで言っちゃいますかぁ!?
あたしはぷぅと頬を膨らませた。
「しかし、お前、あーいう奴に痴漢されんやね。男やないんや」
なっちゃんが突然、肩を揺らしながら笑った。
な、何さ!