不良×依存症


「お前、何してんだよ!あ、まさかあのキス男のファンだったり!?」


ニヤニヤした陸の顔に向かってあたしは空パックを投げつけた。


しかし陸は仮にも野球選手。


普通にキャッチした。


しかも片手で。


「んなワケないでしょ」

「じゃあ、初キスがまだだから、嫉妬!?」


陸の言葉にあたしの顔が真っ赤になる。


「あたしは海斗としか付き合わないの!」


「うわ…。お前、まだあのアイドル好きなのかよ」


まだ…って何よ。


これからもずっと。

「海斗の弟なんて好きじゃないわよ!」


陸が不審な目をあたしに向けてきた。


「何、あのアイドル弟いんの?」


へっ?

陸の質問にあたしはハッと我にかえる。


あっ、あたしつい口走ってなっちゃんの事を口に乗せてしまった。


はっ!またなっちゃんを思い出してしまった。


もう心はすごく痛い。


身体の中に自分じゃない魔物が潜んでいるに違いない。


「お前最近おかしくない?マリッジブルー?」


……。

陸の言葉にあたしはしらけ顔。


もう馬鹿を相手にするのも疲れたわ。

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