不良×依存症
またまたなっちゃんを思い出したじゃないかあ…。
あたしは悔しさのあまりストローを噛んだ。
「あたしはいつでもクールだよ」
「あーはいはい」
陸があたしの言葉を適当に流す。
「おー、見ろよ。アレ」
陸が窓の向こうを指した。
あたしは窓から身を乗り出し、目を細めて確認する。
「あ」
あたしはまさに開いた口が塞がらない状態になっていた。
……だって。
東高の男子と西高の女子が、隠れてキスしてるんだから。
2人は死角にいるが、残念ながらこの教室からは見えちゃうよ。
……キス。
あたしはなっちゃんと繰り広げたあのキスを思い出してしまい、顔がボッと熱くなるのが分かった。
「うわあ…。あれ、舌入ってるぞ。生々しい」
「お前の実況も生々しいわ…」
あたしはあまりにも、顔が真っ赤でそれを隠すようにして俯いた。
陸はどうせ恋人は野球だから、キスとかで悩んだ事ないよね。
ファーストキスって最初で最後なのよ!?
そんな大事なキスをあの不良野朗に奪われて…!!
しかも誰のおかげで、今、表の道を歩けてると思ってんのよ!
少しはお礼の一つや二つあってもいいでしょお!?
怒りのあまり、苺ミルクの空パックを潰してしまった。