わたあめ―kimi to hajimete―


「やっぱり、今日は忙しかったね〜…」

肩を叩きながら川崎さんんがレジで計算しつつ話しかけてきた。

「そうですね、しかも8割カップルだったし。」

今日はXmasイヴで店のかきいれ日の1つだ。

「そういえば、綾乃ちゃん
ホントによかったの?」

「何がですか??」

「今日と明日よ。
バッチリシフト入れてるけど、彼氏とデートしないの??」


「私、彼氏とかいませんよ?」

「ウッソだぁ〜、お姉さんに正直に言ってみなさい♪シフト組み直してもいいわよ♪」


川崎さんが肩を引き寄せて耳を近づけてくる。
私は耳に囁きかけることにした。

「実は……」

「うんうん♪」

「ホントにいないので
シフトはこのままでお願いします。」

「うんうん、シフトはこのまま…って……えぇ?!!」

川崎さん…声大きいです。


「なになに?どうしたの??」


川崎さんの叫び声でマスターと数人のスタッフが駆け寄ってきた。


「マスター!!綾乃ちゃんが枯れちゃう!!!」

「ちょっ、川崎さん!?」

「なに?どういうこと!?」

「綾乃ちゃん、今、彼氏いないんだって〜〜!!」

「「えぇぇぇ!?」」

そんな驚くことかな?

「学内で誰かに告白されたりとかは??」

「ないです。」

そもそも大学生ではないし、
学校ではキモがられてるから。
まぁ、恋愛する気もない。

「じゃぁ、片思いとか!?」

「それもないです。(笑)」

「えぇ!?」


「さ、明日も頑張りましょ―――♪」

そう言って、調理場に行く私を後ろで佐藤君が見ていることに私は気付くことはなかった。
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