照る照る坊主
『ただいま』


学校から帰宅した彼女は、玄関の扉を開ける。


その日は、日差しの眩しい快晴だった。


きっと、照る照る坊主のおかげ


彼女は、そっと部屋の扉を開いた。


窓を覆う影。


見慣れた照る照る坊主は


窓から漏れる風に靡いて


横に揺れていた


微かに漂う


香水の臭いだけを残して。
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