紅い記憶
 驚いて顔をあげる桜。


 涙も止まっているようだ。


 桜はふと下を見た。


 校門が真下に見える。



「あんな迷信を信じたわけじゃねーけど、女の子ってこういうの好きなのかなって思ってさ。意外にお前も興味あったみたいだし。でも普通、校門の真正面って言ったら、1階の正門の真ん前だと思うだろ?だからここはとっておきの場所。」



「ありがとね。稔。ほんっとーに今日嬉しかった。

…っていうかさ…、花火…やらないね。」



 桜は、腕時計をちらりと見た後、花火が打ち上げられる予定の場所の方角を向きながら言った。


 開始1分前の合図があってから、ずいぶん時間は経ったはずだ。


 何かあったのだろうか。 

 
 不審に思っていると、下から大きな声が聞こえた。


「火事だーーーー!中庭が燃えてるぞーーー!!!B棟の下が燃えてるぞーーー!逃げろーーー!」


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