i‐ LOVE
事実はどうだか不明だが、俯く聖に木村は追い打ちをかける。
「また連絡します」
そう言って扉を閉めようとする木村を聖は呼び止める。
突き放す言葉が聖の負けん気を刺激したのかもしれない。
「あ…俺、それ受けます」
聖の声に木村は扉を閉めるのを止める。
「そうですか。ではお客さまに連絡しますので、もうしばらくお待ち下さい」
木村の表情は変わらなかったが、ほんの少しだけ声が明るくなった気がした。
三ツ星クラスの都内のホテル。
指定されたのはロビーの公衆電話の横。
聖はその場所で堅い大理石の壁にもたれながらまだ見ぬ今日の客を待っていた。
ラフな白のボタンダウンに黒のパンツは少し場違いな気がした。
フォーマル指定がなければこの格好が聖の仕事の制服だった。
聖は腕の時計を見る。
指定された時間を5分過ぎていた。
相手を待つ時間、聖はなるべく客の事は考えない。
想像の人物像とかけ離れた客が来たときに顔に出さないようにする為だった。
「また連絡します」
そう言って扉を閉めようとする木村を聖は呼び止める。
突き放す言葉が聖の負けん気を刺激したのかもしれない。
「あ…俺、それ受けます」
聖の声に木村は扉を閉めるのを止める。
「そうですか。ではお客さまに連絡しますので、もうしばらくお待ち下さい」
木村の表情は変わらなかったが、ほんの少しだけ声が明るくなった気がした。
三ツ星クラスの都内のホテル。
指定されたのはロビーの公衆電話の横。
聖はその場所で堅い大理石の壁にもたれながらまだ見ぬ今日の客を待っていた。
ラフな白のボタンダウンに黒のパンツは少し場違いな気がした。
フォーマル指定がなければこの格好が聖の仕事の制服だった。
聖は腕の時計を見る。
指定された時間を5分過ぎていた。
相手を待つ時間、聖はなるべく客の事は考えない。
想像の人物像とかけ離れた客が来たときに顔に出さないようにする為だった。