契約の恋愛
「参加しちゃってる…?」

枝にぶらさがりゆーらゆーらと揺れる西山日向の体は、今にも宙に飛んでいきそうだった。

璃雨は、さらさらと揺れる栗色の髪を見つめながら訪ねた。

鼻歌をのんきに歌いながら制止した西山日向は、クスっと笑った。

「璃雨ちゃんの、物語に紀琉は参加しちゃってんの。」
その言葉が、璃雨の頭を支配するのには時間はかからなかった。

どう…いう意味?

紀琉が璃雨と関わりがあるっていうの。

どこに?

璃雨は紀琉を知らない。

でも紀琉は璃雨を知ってた。
何で?

どうして紀琉は璃雨に声をかけたの…?

「大分混乱しちゃってるみたいだね。」

西山日向の声が近づいてくる。

ハッと顔を上げると、西山日向はすぐそばまで近づいていた。

「…私は…紀琉のことを知りません。」

「そうだろうね。だって紀琉は直接璃雨ちゃんと繋がってたわけじゃないんだもん。」

……?

わけが分からない西山日向のじれったい言葉に、璃雨はらしくなく振り回されかけていた。

「璃雨ちゃんさ、紀琉のこと知りたい?」

顔をのぞきこまれそうになり、何とか顔をよける。

紀琉のことを知る…。

冷静になってみても、璃雨は紀琉のことを何も知らない。

紀琉の今まで生きてきた道順も、何も。

知る必要はないと思った。
どうせ死んでしまうんだから、と。
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