契約の恋愛
…紀琉…が。

紀琉が璃雨のことを話す姿は、なかなか想像しがたい。

西山日向は言葉を続けた。
「紀琉は…さ。何年も前から璃雨ちゃんを知ってるんだよ。」

……え。

思考がストップする。

西山日向の言葉をもう一度頭の中でリプレイした。

…何年も前から、璃雨のことを知ってる…?

「…どうして…ですか?」

恐る恐る聞いてみると、西山日向は完全に主導権を握った表情をしていた。

勝ち誇ったとは違う、変な表情。

「紀琉はね、ずっと前から璃雨ちゃんと繋がってたんだ。璃雨ちゃんの知らない所で、ずっと。」

意味深な言葉が並んでいく中で璃雨は、必死に平静を保っていた。

ここで自分をくずしてしまえば、完全に主導権はあっちに渡ってしまう。

何かのゲームでも何でもないのに、璃雨は恐れていた。
この男に、弱みを見せることを。

「どういうことですか?」

「どういうことってそういうこーとっ!紀琉はさ、参加しちゃってるんだよね。」
そう言って、相変わらずの笑みを浮かべる西山日向はある木の枝に腕を伸ばし、ぶらさがった。

小さな子供のような行動に吹き出しそうになる。
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