契約の恋愛
「…マジで?」

「ホントホント。頑張ったかいがあった…かねぇ。」

そう言って恵流はんしょっと草を抜く。

いつの間に…。

俺は驚きを隠そうともせずに、ボーっとしていた。

「何?お前俺と一緒にいる時間が減って寂しいんだな?」

……まさか。

むしろせいせいしてるし。
そんな視線を恵流に送りながら、俺は足下の草を力強く引っ張った。

「…驚いた。まさか、恵流が合格するなんて。」

静かに告げた直後、草が鈍い音を立てて抜けた。

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