スカイ・フラワー
黄昏に浮かぶ何か
「あーーーーーっ!!!」


階段の下から山地の大声が聞こえた。

「あ。迷子の迷子の子猫さん達じゃないか」

「うるへーー!」


「千広ぉーーっ!」

「夏葉っ!」

長月は高円寺に走りよって行った。



「じゃ、この辺まわってみよー!!」




結局、俺達は境内の中にある屋台をまわる事になった。


「ねぇ!高円寺ぃー。ワタアメ行こっ」

早速、山地は高円寺を誘って屋台へ行った。

「俺らあっち居るからな」

「おーう」

俺と長月は境内の賽銭箱前の段差に腰を下ろした。


開口一番に長月が言った。

「千広にやましい事してないでしょうね」

「いきなり何いってんだよ。やましいって何…」

「いや…その…色々あったかなって…」

「…?何もないけど?」
(やっぱコイツ今日変だな)

「そうなの!よかった…」




「お前、本当に変だぞ」

俺はズイッと長月の顔を覗き込んだ。

「………っ!?な、何よ…」
(いきなり見られたら驚くじゃないっ!!)

香は夏葉のおでこに、そっと手を置いた。

「熱はないな」

といって微笑んだ。






……ドクンッ…ドクンッ……







私の顔は絶対に赤くなっていたに違いない…


でも、夕陽に染まる黄昏時が私の顔を茜色に照してくれた御陰で三枝には気付かれなかった。



私はその時…自分の気持ちに気付いた…



淡い想いを……






でも、私はそれをグッと胸の奥へとしまい込んだ……






三枝の手の温もりを静かに受け止めるのが精一杯だった……


< 32 / 104 >

この作品をシェア

pagetop