スカイ・フラワー
「じゃ、後は三枝がやれよ?」

「……まぁ、死んでりゃ問題ないな」

俺はティッシュでゴキブリを包むとゴミ箱に放り込んだ。

「うげぇー」

長月は一連の行動をみて言った。

そして、山地と俺がゴミ箱を持って教室を出ようとした時だった。

「山地っ!職員室まで案内してやるぞ?」

担任の佐山だ。山地は先生をみるなり、顔色を変えてその場でゴミ箱を置いた。

「ゴミ捨てとは気が利くが、鞄まで持っていかなくていいだろ?」
「……すまん…三枝」

そう言うと、山地は先生に連行されていった。

「……何だアイツ」

「山地君ね、この間のテストの点が悪くて呼び出しくらったみたいよ?」

また長月だ。コイツはどこからそんな情報を入手してくるのか。

「ったく。……って、俺一人じゃん…」

掃除当番は席の縦列で割り当てられる。
そして、山地は俺の前で長月は俺の後ろの席だ。オマケに俺の列では男子が俺と山地だけ。他は全員女子。

「仕方ないな」

俺はゴミ箱を両手で二つ持つと教室を出た。少々重いけど、持てないわけじゃない。


「ねぇ、夏葉?三枝君にキツくない?」

「千広はいつも三枝に甘いわ!」

「……私、三枝君手伝ってくるね」

そう言うと、千広は三枝を追いかけた。

「ったく…千広ったら」

私はなんだか後ろめたくなってしまった。でも、すぐに振り払った。
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