スカイ・フラワー


「…わかんねぇ…」

「わかんねーってなんだよ!!」

「さぁな」

「三枝君は人に好意とか持ったことないの?」

田中と山地はもはや小声どころではなく、普通に話していた。

「う~ん…。微妙だな」

「そうなんだ」

「でも、タイプとかはあるだろ?スタイルが良いとかさ!」

「…じゃあ、カワイイ子」

「「普通っ!?」」

田中と山地は勝手に突っ込んで笑った。俺は大して笑えなかったけど。




それから、その日は女子に交ざって構想を練ったりして解散時間になった。

帰りは校門までは田中もいたけど、そこからは別れた。

でも何故か後ろからは橘と長月、高円寺が来ている。

終止、山地と橘の言い合いは収まらずにうっとうしかったが、結局家が近いらしく一緒に駅へと行った。

残ったのは長月、高円寺、俺だ。

「あの二人って案外お似合いよね」

「そうだね」

「付き合ったりしないのかな?」

「そうだよねー」

(そりゃないな。山地は高円寺だからな)

心の中で返事はするものの、居ずらさには勝てずに黙って二人の後をついていく。

「三枝」

長月が振り向いて言った。

「なに」

「千広送ってってよ」

「えっ!?えっ……!」

高円寺はアタフタしている。

「……」

俺は何でか聞きたかったけど、高円寺の前では失礼だろう。

「だって女の子の夜道は危険でしょ?まだ夕方だけど」

「いいけど、お前はどうなんだよ」

「私はもう家近いからいいの」

「…そう。じゃ」

「うん。じゃあね~千広~」

長月は手を振って行ってしまった。
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