ずっと抱いてて
「大嶋君」


「はい」


 ゼミの担当教官である高畑教授がボクの名を呼んだので、ボクが返事した。


「君もせっかく出席してるんだから、ノートぐらい取りなさい」


「分かりました」


 ボクが頷き、シャープペンシルを取り出して、講義室のボードに書いてあったことをノートにメモし始める。


 他の女子学生が笑い出す。


 ボクは照れながらも、その場だけは頻りにノートを取り続けた。


 だが、ボクは高畑先生から言われたときぐらいしかノートを取らず、後は適当に受け流しておくのだ。


 それだけボク自身面倒くさがり屋だったということで、それは愛海はおろか、同じ文学部の学生は皆知っているようだった。


 大嶋はズボラだなと。

< 4 / 108 >

この作品をシェア

pagetop