ずっと抱いてて
第15章
     15
 処方してもらっていた軽めの精神安定剤を飲みながら、ボクはまた学校に行き始めた。


 ゼミの皆からは奇異な目で見られる。


「大嶋のヤツ、久しぶりに学校来たな」と。


 だが、ボクは出席日数の関係で、留年がすでに確定している。


 高畑ゼミはいつも学生で賑わうのだが、ボク自身、その中で幾分浮いたような感じになっていた。


 愛海はちゃんとノートも取っていたらしく、ボクにそれを貸しながら、講義がどこまで進んでいるか教えてくれている。


 ボクもそれを読み返しながら、また講義に付いていき始めた。


 自己臭のボクを慰めてくれるのは、愛海本人以外の誰でもない。


 そしてボクは彼女と手を携えて、これからも歩いていこうと思っていた。


 仮にボクが退学したとしても、多分自分には影響が少ないだろうと感じている。


 それだけボクは自身が納得した上で、あえて復学を試みたのだ。

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