ずっと抱いてて
第16章
     16
 カツカツカツ……。 


 バイトが休みの日、ボクは自室で明け方までパソコンのキーを叩き続けた。


 夏で暑いので、起きていても大丈夫なのだ。


 部屋には扇風機を付け、絶えず冷風を送り続けながら、ボクはひたすらパソコンのキーを打つ。


 今度公募する賞は今年十一月末が締め切りだ。


 幸い、ジャンルは問わない。


 ボクはキーを叩きながら、愛海と二人で育んでいった愛の数々を綴る。


 互いに分かり合えた日、そして分かり合えなくすれ違いで終わってしまった日……。

いろんな日があった。
 

 そのリアルな体験を文章に書き綴って、誰かに読んで欲しいと願っていた。


 ボクはキーを叩きながら、脳裏に鮮明に思い起こし始める。


 愛海と出会ったあの日を。
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