消された煙草


その日はその年の中でも一番の暑さを記録した日だった。


彼女は私のアパートの階段下に座り込んでいた。


「どうしたんですか?」


声を掛けた私に、彼女は青白い顔を上げて答えた。


「貧血で……」


私は不謹慎にも彼女のその血の気の引いた白い肌と、震えるようなか細い声に胸が高鳴るのを感じた。


「良かったら、私の部屋で休んでください、こんなところじゃなかなか良くなりませんよ」






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