*人形姫*
「いつも、ここの道通ってたでしょ。可愛いなぁと思ったんだ。」
荒い息でそんな風に囁かれて、激しい嫌悪感を覚えた。
(いや……こんな人に犯されたくない!)
目を瞑って、心の中で叫んだ。
(お願い、誰か、助けて……!)
ドカッ…
後ろから、鈍い音がした。
わけのわからない内に、あたしは解放されて、誰かに手を引かれた。
大きくて、節張った、綺麗な手。
「乗って。早く。」
車体の低い車に乗るように言われ、考える余裕もなく、それに無我夢中で従った。