*人形姫*
息を整えて、うるさく鳴る旨を押さえた。
(……助けてくれた……。)

もう車は発車してしまっている。
もしも今となりにいる人がやばい人だったらどうしよう……と思って隣を見た。

ハンドルをにぎる、あの綺麗な手。
少し長めの、クセのついた髪。
そして、凄く整った横顔。
歳は多分、二十代前半。

「…大丈夫?」

話かけられて、我に返った。
思わず見とれてた!

「あ、あの、助けてくれてありがとうございましたっ。」

慌ててお礼を言ったら、その人は少し口元に笑みを浮かべた。

「女の子があんな暗い道歩いて帰っちゃ危ないよ。このまま送ってあげる。家どこ?」

「……○○です。すみません、ご迷惑おかけします……。」

その人は了解。と一言言って車を走らせた
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