恋の花びら

「裕也、
お前はストーカーか?」



ビルの影に身を潜めていた俺は
かぶっていた帽子をさらに深く頭を覆う。



サングラスにマスク、
帽子。



完璧な変装だ。



「なぁ。
俺帰っていい?」



「ダメに決まってるだろ。
友達のピンチなんだぞ。つきあえ」



塀から少しだけ顔を覗かせる裕也の隣で大喜はつまらなそうに空を見上げる。



「ストーカーの共犯者とかやだな」



「紫織は俺の彼女だから俺も大喜も捕まんねーよ」



「どーだか」



親友の一大事だってのに。



なんでこいつはこんなに冷たいんだよ。



紫織と俺は付き合っている。



もちろん俺の妄想とかではない。



なぜこんなことしてるかって?



紫織にはもしかしたら他に好きな奴がいるかもしれないからだ。



そう、
浮気疑惑。



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