盲目の天使

開け放たれた窓を、ゆるやかな風が揺らして、カタカタとリズムを刻んでいる。


「ね~ぇ、プロン様」


猫なで声に、流し目のおまけもつけて。


「私、あの王女の身の上を、哀れんでおりますのよ」


ソレイユは、プロンに体を密着させた。


突然、リリティスに話が及んで、

プロンは自分の下心ゆえに、杯を落としそうになる。


「なっ、なんだ。急に話題を変えて」


取り繕うプロンの様子に、

ソレイユは、自分のたくらみが成功する予感を強めた。


「どうでしょう。

あの王女を、プロン様の側室に、むかえてはいかがですか?」


ソレイユは、妖艶な笑みを浮かべて、王を上目遣いで見た。



< 324 / 486 >

この作品をシェア

pagetop