サイト・ア・ラ・カルト
携帯原始人
 世間で携帯が普及し始めた頃、私は取り残されそうな気分になり慌てて携帯を購入した。そして、メールという機能に関心を持ちながらもそれを操る実戦の場というものを知らなかった・・・
 出会い系サイトという言葉は聞いたコトはあったが実態は無縁なのでどういう風に接近すればいいかすら分からなかった。
ある月間エロ雑誌に無料出会い系サイトの広告を発見した時ドキドキしながらアクセスしてみた。自己紹介で、はじめまして・・・などと出だしがあってマヌケっぽいなあ・・・などとおもいながらも真剣に自己紹介文を綴った。
 しかし待つことしばし・・・誰もメールを送ってこない・・・
 オレは魅力が無いのかと絶望しかけたが、よしこっちからアタックだあ、と思いメールを送った。が、やはり返事がない。
 ところが、そこへ姉妹サイトのxxですなどというメールが着た。(ところがというのはベタな展開と知らなかった愚かな自分のモードで入れた)
 そしていろんなオンナの子から次々とメールが届いてきた。
 おお、モテ始めたと私は有頂天になり、返事をいそいそと書きポイントが足りなくなると催眠術に罹ったように銀行に振込み、せっせとサイトに貢いだ。
 経験がある方は共感するだろうし、騙されなかった方は馬鹿だなあと、嘲笑されるであろう・・・
 いずれにしろ当時の私はサクラなどというモノが存在する事など思いもしなかったので
色んな個性が自分に興味を持っているなどと、自惚れきっていたのであった。
 サイトは出会い系というモノなので当然誰かと会う約束を取り付ける事を目的にする筈であるのに、いろいろな女性にせっせとメールを書く事が自己目的化してしまっていたのである。
 愚かな私はしばらくして、やっとそれに気づきとりあえずある女性と約束をとりつけた。待ち合わせの場所で私は待った。夕暮れの街角で一人佇む気分は悪いモノではなかった。そして、約束した筈の女性は現れず空しく時が過ぎ去り私はその場を去るのであった。
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