マスカレヱド
開幕3
   ●

 いつも通りにと決めた手前、塾をサボるわけにはいかなくなったんだ。

 これって結構大打撃。

 行くまでは嫌いな塾だけど、終わってから家に帰るまでは楽しい。だって、俺もう電車の乗り方しってるんだぜ。

 友達に自慢しまくり。へへへ。

 そうそう、塾と言っても何とかゼミナールとか、そういう大きな所じゃない。個人経営の、教室に十人も入ったら狭く感じるようなところなんだ。

 でもねーちゃん曰く、塾の人数は少ないほどいい、らしい。

 先生に教えてもらう機会が増えるからだって言ってたけど、実際俺等にとっちゃ面倒が増えてるだけなんだけどなぁ。

 どうでもいいコトを考えていたら、いつの間にか授業は終わりの時間が近づいてきた。

 今日は先生が副業のカブトムシとかクワガタの小売について語ってしまったものだから、授業自体の時間が圧迫されて結構駆け足になっている。最後の小テストは今日は無しだって。ひゃっほい。

 一通り予定の問題まで解き終わり、次回の予告を軽くして、本日の塾は五分オーバーで終了。

 五分も青春の大切な時間を削られちまったぜ。
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