風にキス、君にキス。
だから…これからも前向きに、強く生きていって欲しい。
転んでも、立ち止まりそうになっても構わない。
またいつか歩き出せるのならば。
…その言葉に、日向は微笑んで。
「はい」と強く頷いた。
――――藤島の風は、もう吹くことはない。
そう思うだけで、胸が張り裂けそうな程に寂しかった。
…だけど、悲しくはなかった。
日向が選んだ道だから。
少しでも、日向の未来の可能性が失われないなら。
…だから、涙は零れなかった。