スタンド・アローン
「中嶋さんっ」

 我に返った神逆が声を上げた時には、俺の体は宙に浮いていた。

 雪風も、顔面蒼白で立ち尽くしている。

 実のところ、俺は落ちたわけじゃない。踏みとどまれないと判断して、とっさに飛んだんだ。

 完全に崩れた体勢を戻すより、宙に身を投げて着地するほうが容易いからだ。

 体を沈めて降り立とうとしたその時、背後に気配を感じた。

 ってちょっと待て、こんな体勢で避けられるかいっ!

 と、

 がしいっ。

 その背後の気配に、俺は受け止められていた。

「相変わらず騒々しい男だな、貴様は」

 この古臭い物言い…

 振り向くと、見知った顔があった。

「レオ!」

 鬣のような長い銀髪をなびかせた長身の男。

 中学の時に同じクラスだった、佐藤獅子丸。

 確か父親が陶芸家で、礼儀作法を厳しくしつけられたらしく、言葉遣いも古風だ。

 しかし、なんでここで出てくるんだよ。
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