リビング

ラウンド0

受験シーズン真っ只中の中学三年生にとって、授業中は一辺たりとも息の抜く暇はない。

なんて事は、たかが虚言にすぎなかった。


「なぁなぁ!今週のヤンジャン読んだかよ?すっげぇぞ!!」

少なくともこの北野田中学校には、受験を控えているとはとても思えない程授業中が騒がしかった。


「何々?何がすごいんだよ?」

「グラビアだよグラビア!!新人アイドルの娘が超可愛くてさぁ!!」

教師が前で黒板に複雑な数式を書き、説明しているが、教室は私語が飛び交い、かなりの騒音に溢れている。

真面目に教師の説明を受けているのは、学級委員の明雨弘人を含むごく少数。
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