遠くから来た男の子
「この輝く角をつけている間、気分はいつも清々しかった。行ったこともない美しい場所が頭に浮かんだり、うっとりするようなメロディが聞こえてきたりしま
した。
このステキな角を手放すのは辛いですが、もともとはあなたの持ち物なのだからお返ししましょう。そのかわりに、いつか私をあなたの星に招待して下さい。一度でいいからあんな美しい星に行ってみたいのです」

鹿は頭から角をはずし、男の子に渡しました。破へんはEの形をしていました。男の子はていねいにお礼をし、必ずリペスキンドに招待すると約束しました。

3人は鹿と別れ、もと来た道を戻りました。

「もめたらどうしようって、ドキドキしたけど、意外と簡単に返してくれたね」と、リズが言いました。

「交渉にもいろいろあるからね。鹿のはある意味、いつもフェアだよ」と、男の子は言いました。

「それにしても、リペスキンドって、きっととてもきれいな星なんでしょうね。私も行きたくなっちゃった」と、レムが言いました。

男の子は、レムの方を見て微笑みました。
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