短い夏休み
私は無事着地したように見えたが勢いがつきすぎていたらしい。前につんのめりとっさに手を出した

ザザッと言う音がして手のひらが痛くなった

将太が急いで私のところに来た

「バカ!お前何してんだよ」

私の両手をつかんで手のひらを見た

少し赤くなっていた

ジンジンと痛みが押し寄せる

「あーぁ」

将太が私の手に付いた砂を払いながら言った

そう言えば膝もこすったらしく痛い

こちらはたぶん血がにじんでいるからあまり見たくはなかった

「昔は私の得意技だったんだけどな」

「昔と今は全然違うんだよ!しかも昔はあんなに高さはなかった」

「えへへ。」

笑うしかない私を将太は水道まで連れていってくれた

私が手と膝を洗っているとき将太は散々私に文句を言った

幼稚すぎるとか

アホだとか

考えが安易だとか

考えは安易というのは将太には言われたくなかったが今日は黙って膝を洗いながら聞いた

「おまたせー」

後ろから樹の声が聞こえた

「おー、やっと来たか」

「どうしたの?」

樹が膝を洗っている私に聞いた

「それがさ、こいつバカだから」

将太が代わりに話始めた
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