短い夏休み
私たちはいつもの川沿いを歩く

「なぁ?」

ぼぅっと歩いていた三人の中で将太が口を開いた

「今日は何をもらったんだ?」

校門で別れる前は持っていなかった樹の紙袋をのぞき込む将太

樹は見られないように反対の手に持ち替えて

「手紙とかタオルとか」

少しうつむき、地面を蹴りながら小さい声で言った

「いいなー」

私が思わずこぼした

「え?」

予想外な発言にこちらを向く樹

「だってさ、マネージャーってそうゆうの絶対ないからさ」

「俺も」

将太が賛同した

確かにと言って樹がうなった

「まぁ、そうゆうのが欲しくてやってるわけじゃないけど」

「俺は違うな」

樹と私は思わず吹き出した

「じゃぁ、お前、手紙とか欲しくて野球やってんの?」

笑いながら樹が問い直した

「そうだよ?」

笑うのをこらえて、将太が答えた

「動機サイテー」

私たちは三人で笑った

「でも、手紙とかもらうのちょっと夢だったよな?」

笑い終えた後、将太が樹に聞いた

「うん!それはそうかも」

二人で盛り上がり始めたので私はそばで二人の熱い夢の話を聞いた
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