Lie & Truth ―君色番外編―
一年彼女いないとかありえないよ、この俺が。

その間自分は幸せによろしくやってたわけね。

あーイライラする。




「隣、空いてる?」


俺が過去を思い出しながら樹里にむかついていると
突然声をかけられて、俺は何故か焦ったように


「え…あ、はい。空いてますけど…」


と言葉を返した。



俺の席の真後ろに、樹里と樹里の彼氏が座っていて、その周りにも空いてる席は沢山あるのに、その人は何故かバランスの欠けた穴を埋めるようにその席に座った。



…ヘンな女。



それがその女に対する第一印象。


最初は俺目当て?とも思ったけれど、特に浮かれる様子もなく、照れる素振りも見せない事から、それは違うだろうという結論に辿り着いた。

が、しかし。

女の意図がつかめず、俺は思いきり警戒心をむき出しにしていたのだった。



そんな時だ。



ふわっ。



懐かしい、香水の匂いが鼻を掠めた。



この匂い…。


俺はその女の方へチラリと視線を向けてみる。




偶然…だよな?





あいつと同じ香水だからって何動揺してんだか。






石垣 留美。



俺の――――…


――――元カノ。





俺を裏切った女だ。





当時は本気で愛し合っていたとは言え、今は樹里以上に気に入らねぇ。


もしも偶然に街角でバッタリ出会うような事があれば、迷わず一発殴ってしまうかもしれない。



それくらい


憎くて憎くて

たまらないんだ。



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