恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「斉藤ちゃん、コイツ、すごいんですわ。山田ってゆうねんけど…」
瀬戸先輩が、プールサイド全体に反響するほどの声を出していたので、ついその方向を向いてしまった。
「コラ、瀬戸。『斉藤先生』だろ?ま、いいけど…。」
渡先生は、いつも通りの笑顔でその話の輪に加わっていた。
「『ま、いいけど』って何ですか、渡先生?俺、水泳部全体になめられてますねー。」
斉藤先生は苦笑しているけど、嬉しそうだった。
「ははは。早く一人前になれよ、新米。でも山田は最近すごいから。見てやって。」
渡先生はそう言って、山田くんに軽く泳ぐように指示した。