サラリーマン讃歌

第一章

～ある朝の風景～

ジリﾘﾘﾘﾘ・・
やかましい目覚まし時計の音が、睡眠を中断させるべく鳴り響いている。

「うっ、うーん…もう、朝かよ…眠い…」

まだ布団の中の暖かさを感じていたい気持ちを抑え、しつこく鳴っている目覚まし時計を止める。

半分寝ている体を無理矢理起こそうと試みるが、三十代になったばかりの疲労感が抜けない体に鞭打つのは、相当の苦労を要する。

しばらくそんな自分自身と闘っていると、再び夢の中へ墜ちていきつつあった。

その時、二度寝防止用にセットしていた携帯が、ミスチルの着歌とともに震えだした。

昨日の自分の用意周到さに舌打ちしながら、一気に布団から這い出ると、手の届かない位置に置いていた携帯のアラームを解除した。

（…今日も仕事かあ）

仕事の事を考え出すと、まるで不登校児のようになってしまうので、仕方なく朝の支度に取り掛かる。

（不登校じゃねえな。学校じゃないんだから…不出勤？…不出社？？…でもねえな）

そんな、まるで無意味な事を考えながらダラダラと準備を整えていく。最後にサラリーマンの戦闘服であるスーツに袖を通した。