サラリーマン讃歌


「知らないって、お前……」

その時、ニュース番組の画面が切り替わると、地域版のスタジオへと変わった。

「まず、始めのニュースです。今日午後四時頃、私立賢明女学院の教諭 河野 勇人容疑者三十八歳が、自身の教え子である同学院の女生徒に猥褻な行為を強要したとして、強制猥褻容疑並びに青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕されました」

俺と高嶋は一旦会話を中断させると、そのニュースに集中した。

ニュースによると女生徒の父親からの訴えにより事件が発覚。

河野に警察が任意同行を求め、詳しく話を聞いたところ犯行を自供したらしい。

「父親からって……」

俺の中の疑問のひとつが解けた。

「さっき見た時はあんまり詳しく聞けなかったけど……父親からの通報だったんだ」

高嶋も驚いた様子で俺を見てきた。

「……そうみたいだな」

「バレてたんだ、既に」

高嶋が呟くように言った。

「さっき会ったよ、クミちゃんの父親に」

「マジで!」

「……全部知ってるみたいだった」

「……何でバレたんだろう?」

「……さあ」

俺が知りたかった。

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