サラリーマン讃歌

~ストーカー~

次の日の朝、俺は彼女に会えるであろう時間帯に家を出た。

昨日よりもやや早く、あの交差点に着いた俺は、時間潰しのために煙草に火をつけた。

(これってストーカーだよな)

そんな自分に苦笑しつつ、タバコを立て続けに二本吸い終わった頃、向こう側の歩道に彼女の姿が見えた。

彼女を見た瞬間、ドキン、と俺の鼓動は高鳴った。まるで、まだ何も知らない青臭い学生時代の反応のようだった。

彼女は昨日と同様に独りで、美しく弧を描いている切長の目を真っ直ぐに見据え、毅然と歩いていた。

彼女の胸にかかるぐらいのサラサラとした長い髪は、朝の光を受けて、その茶色がかった色を金色に染めあげる。

(……綺麗だ)

俺はそんなありふれた表現しか出来ない、自分自身に失望した。

美しい顔立ちの中にもほんのりと残る幼さは、綺麗でありながら可愛らしさも共存させていた。

全体的には利発的な感じだが、目元は憂いを帯て、その容姿にさらにアクセントを加えていた。それがより一層に男心を擽った。

しかし、そんな彼女を見つめ続ける俺は、朝の忙しい時間帯に横断歩道を渡ろうともせず、女子高生をひたすら見ている怪しいスーツ姿の男だった。

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